軸位置変換を目的としたベベルギヤとウォームギヤの使い分けについて
ベベルギヤやウォームギヤのように軸位置を変換できる歯車の用途は世の中に数多あり、それらを特定することは困難です。
古い書籍ですが仙波先生の著書「歯車」の中に、下表のような歯車の性能について分類されたものがありますので紹介します。
種類 | 歯数比範囲 | 効率[%] | 最大速度 [f/min] | 最大動力[PS] | 軸位置 | 接触 |
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スパイラルベベル | 1~10 | 96~98 | 一般5,000 精密15,000 | 20000 | 直交(一般) | ころがり |
ストレートベベル | 1~10 | 95~98 | 一般1,000 精密2,000 | 1500 | 直交(一般) | ころがり |
ゼロールベベル | 1~10 | 94~98 | 15,000まで | 1500 | 直交(一般) | ころがり |
円筒ウォーム | 3.5~100 | 25~95 | 6000 | 400 | 食い違い | すべり |
出展:仙波著「歯車 第一巻」 第1.3表より抜粋 |
ベベルギヤの軸位置変換は90°が多く使われますが、40°〜120°(弊社実績)まで可能です。ここでは主に食い違い軸ですが90°に変換できるという意味でウォームギヤと比較しています。因みに食い違い軸というのは互いの軸が平行ではなく、交わりもしないものです。
さて、上の表にざっと目を通しますと、ベベルギヤは速比は10までですが、伝達効率が良いため伝達動力が高めです。スパイラルの場合、歯筋がねじれているためさらに大きな動力を伝達することができます。ただし、歯筋のねじれや、ねじれ方向から生じる軸方向推力には注意が必要です。
つまり、スパイラルベベルギヤの場合、伝達動力(ねじれ角による)を得るためにはある一定の軸方向推力を覚悟しなければならず、軸受け設計についても十分な配慮が必要となります。
一方ウォームギヤの場合、最大の特徴はその速比です。最大100とされていますがその分効率が低減してしまうためベベルギヤに比べるとさほど大きな動力を伝達することはできないとされています。しかし大きな減速比が省スペースで実現できるのはやはり魅力的です。
歯車の設計にはまだまだ多くの要因を考慮する必要がありますが、参考にしていただければ幸いです。