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かさ歯車とは

    

かさ歯車とは(原理)

かさ歯車とは、傾斜のある傘のような形の歯車のことで、円すい、または円すい台の側面に歯がきざまれている歯車です。直角に交差する2軸間で回転を伝達するときに使用されます。例えば、トラックなどに多い後輪駆動車は、トランスミッション(変速機)からプロペラシャフトを伝わってきた動力を後輪シャフトに向きを90°変える必要があります。その役割を果たすのがかさ歯車です。ベベルギアと同義です。

このページでは動力伝達に欠かせない機械要素であるかさ歯車について紹介します。

かさ歯車の特徴(役割)

歯車でまず思いつくのは平歯車かもしれません。平歯車は歯車同士が隣り合い、回転軸は平行に並んでいます。
それと異なりかさ歯車は、歯車通しがおおむね90°に交わって回転の力の向きを直角に変えることができます。傘のような円すいの形をしており、かさ歯車同士を組み合わせて使います。
また、かさ歯車の回転数の変え方は平歯車と同様、回転数を同じにするには同じ歯の数のかさ歯車を使います。回転数を変えるには歯数の違うものを使います。同じように2軸が90°に交わるウォームギヤがありますが、回転数を変える減速比の大きさが大きな違いです。

かさ歯車の主な用途

回転の向きを90°変え、動力を伝える機構に用いられます。昔の喫茶店に飾られていたような大きな手回しハンドルがついたコーヒーミル、手回し式のハンドミキサーやハンドドリルなど目にしたことがあるでしょう。
また前方にエンジン、トランスミッションを配した後輪駆動の自動車、いわゆるFRの構造にかさ歯車は不可欠なのは言うまでもありません。

軸角による分類

軸角による分類は実際に使用されている種類としては主に3パターンです。
当社は、40°〜120°までの実績があります。

かさ歯車軸角90℃
かさ歯車軸角90°より大きい
かさ歯車軸角90°より大きい
軸位置変換の際のベベルギヤとウォームギヤの使い分け方

かさ歯車設計のポイント

歯幅について

まがり歯傘歯車を切削する際、専用カッター(スパイラルカッター)の選定をする必要があります。
スパイラルカッターの諸元は、カッター径、No.(カッター切刃の傾きのこと)、ポイント幅(刃先の幅)の3つの要素で構成され、歯幅は、理論上これら3つの要素に影響を与える重要な数値です。

では歯幅とは一体どこの寸法なのか、図では一見フェイス面上の3.055mmが歯幅であるように見えます。(実際にこのような図面をたまに拝見します)

歯幅はピッチ円から出発し、円錐距離(18.028mmの箇所、円錐頂点とピッチ円直径を結ぶ距離)上にあります。

この図では5mmの箇所となりますが、そもそも歯幅は円錐距離の3/10以下であれば良いということになっていますが、設計者が適宜決定しなければなりません。

かさ歯車設計のポイント

かさ歯車の種類(歯すじの形)

ベベルギアには歯の形状によって主に4種類があります。
それぞれに特徴があるため性能、コストで設計に上手く使い分ける必要があります。「すぐ歯かさ歯車」か「曲がり歯かさ歯車」が主流で「はず歯かさ歯車」は最近ではあまり利用しないようです。

  • すぐ歯かさ歯車
  • はす歯かさ歯車
  • 曲がり歯かさ歯車

すぐ歯かさ歯車

すぐはかさ歯車(スパイラルベベルギヤ)ストレートベベルギヤ

ストレートベベルギヤとも言います。
シンプルで歯車がかみ合う面と回転軸との交線である歯筋が直線であるのが特徴です。
軸方向に作用する力であるスラスト荷重が小さいのでスラスト荷重を嫌うところに多く使われています。軸受けを簡素化できる利点もあります。

反対に難点は、高速回転させたとき騒音が大きく振動が大きくなってしまうことです。
これらの特徴からすぐばかさ歯車は、コストを優先する場合や高速回転が必要ない場合、騒音が問題とならないときに使うと良いでしょう。
一般に比較的低速(周速2m/s以下)で運転される場合に使用されます。

曲り歯(まがりば)かさ歯車

曲がりかさ歯車(スパイラルベベルギヤ)

スパイラルベベルギヤとも言います。
歯筋がらせん状、つるまき線状でねじれ角をもっています。
歯筋が曲線状に見えるのが特徴です。交差する二つの歯車が互いに絡みつくことでより強くかみ合います。
高速回転でも騒音、振動が少なく、歯面強度が高い。
また歯面への負担が少ないことが利点です。